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失われたオチを求めて

とくにきっかけがあったわけでもなく「そーいやぁ読んでなかったな」と思い立ってフィリップ・K・ディックの傑作と名高い『高い城の男』を読みました。

 

 

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

 

 

 

面白かった。

面白かったんだが、しかし……

 

オチてなくない?

この話、オチてなくない?

この世界の真実に気づき、そして……何もしない!

マジか!

 

 

いや、待て

冷静に考えるとディックのこれまで読んだ作品も明確にオチのついた作品は少なかった。

もちろん全部読んだわけじゃないが

『電気羊』『3つの聖痕』『ユービック』『ヴァリス』『流れよ我が涙、と警官は言った』あたりは読みましたよ。

読んで……冷静に思い返すとオチてなかった作品も多かった気がするが、『高い城の男』読了後のような「え、オチは!?」感はなかったな。

ちゃんと「なるほどね……」って納得して読後の余韻を楽しむことができた。

が、『高い城の男』は……「マジで、これで終わりなんか!?」と思ってしまって困った。

この差はなんなんだろうか。

 

で、最初にも言ったけど面白かったんですよね。オチてなくない? 感はすごかったけど作中に仕込まれたギミックとかは面白いし主要な登場人物は開眼・成長もするし……

 

で、たぶんなんでこんなに「オチてない」感を覚えるのかというと多分僕が群像劇に勝手に求めてる展開がなかったからだと思う。

そう、『高い城の男』は群像劇です。

さまざまな視点の登場人物が次々に登場し、目まぐるしく視点が変わっていきながらも少しずつ彼らが交錯していく……というお話です。

ここが面白いところではあるんですが僕にとっては問題っちゃ問題で……

半分ほど読んだあたりから「ここから各登場人物が一気に深く関わりあって最終段へ繋がっていくんだな!!」と興奮してしまったのです。

これは仕方ない

仕方ないよ

だって『ライブ・ア・ライブ』とか『ドラゴンクエスト4』とか経験して生きてきたんだもの……。

最後は全員集合すると思ってしまうじゃん……。

 

で、結局『高い城の男』では様々な登場人物たちが互いにうっすらと影響を及ぼしあい、それぞれが新たな目線に開眼していく、していくんですが……そこから、別に集まったりしない!

成長した仲間たちが*1集まったりせず、自分の領分で「これからどうしよっかな」ってなる! 終わり!

最終的にこの世界に仕掛けられた大いな仕掛け的なものがなんとなく暗示されらのですが、暗示されるだけ!

そして明確に「先行きは暗いがこれからも頑張るぞ!」ではなく「なんか……生きますか!」って感じ!

 

……なので面白かったんですが「え!これで終わり!」となってしまったのでした。トホホ

勝手に起承転結の転だと思ってたところで終わってしまった感じでした。うーん

 

まぁこれは僕の性分が悪いだけでたぶん頭のいい読み方は「つまり……この世界も虚構が……現実が……魂を気高く持たなければ……」的な読後感を得るものなんでしょうが僕の場合「オチは!?」となってしまいました。教養がない!

でもまあ面白かったのでオススメではあります『高い城の男』。

有名すぎてオススメもクソもありませんが。まだ読んだことない人は読んで「ホントだ! オチがない!」と思ったり「いやいやいやオチてるだろ! バーザムほんとバカだなあいつ!」って思ったりしてください。

それではご機嫌よう

*1:そもそも仲間たちではない