未プレイのアーマード・コアをプレイしたのでレビューする
「アーマード・コアの新作が出ない」
と言われるようになってから久しい。最新作『アーマード・コア ヴァーティクト・デイ』が発売されてからすでに4年半になる。
とくに『アーマード・コア ネクサス』以降より、ACスタッフのアイコンとして親しまれてきた鍋島俊文は気づいたらスクウェア・エニックスに移籍していた。
新作は出ない。それでも身体は闘争を求める。
そんなとき、まだプレイしていないアーマード・コア作品がPS Plusのフリープレイ*1にあることに気づいた。
『アーマード・コア/ブラッド・ボーン』(以下ACBBと表記)である。
今回は本作を軽くプレイした筆者が、同じ飢えたレイヴンたちに向けてプレイ時間6時間ほどで感じたインプレッションをお届けしよう。
意外に思われるかもしれないが、本作は発売元がフロム・ソフトウェアではなくSCEとなっている。だが『アーマード・コアV』も海外ではバンダイナムコゲームスが発売元となっていたのでこれは対して驚くことではない。フロムは開発に専念したと考えればいい。
本作、ACBBを語るにおいて特筆しなければならない点は、ビジュアル面や世界設定の突飛さとは裏腹にゲーム性においての強い原点回帰が見られる点だ。
戦闘では「ハンドガンのストッピングパワーの大きさ」「ブレードの破壊力の高さ」の2点が大きく目立つ。
ハンドガンはただ撃つだけだと破壊力が低いが、敵の攻撃の予備動作に合わせて撃ち込むことで大きく体勢を崩すことができる。
この際に密着状態でブレードを振ることによって特殊な攻撃が発動し、通常より大きなダメージを与えることができるのだ。
経験豊富な古参レイヴンならもうお分かりだろう。この一連の攻撃は間違いなく初代PlayStation時代のアーマード・コア3作において猛威を振るった
「ストッピングパワーの大きいハンドガンで敵の動きを止め、ブレードの空中斬りで大ダメージを狙う」戦法を強く意識したものだ。
初期のアーマード・コアではブレードの空中斬りを成功させることで3〜4倍のダメージを叩き出すことができた。が、そのために対人戦でのアセンブリがあまりに固定化されてしまったこともありPS2以降のアーマードコアではブレードの威力がだんだんと抑えられていく。
シリーズ7作目『アーマード・コア/サイレント・ライン』では本格的に左腕用の武装が登場。ブレードを持たずに両腕の射撃武器を撃ちまくる「ダブルトリガー」戦法が主流となり、かつて剣豪と呼ばれたもののふたちは姿を消していった。
だがACBBはどうだ。ブレードによる攻撃は範囲が広く、攻撃の種類も豊富。形態変化による特製の変化まで追加され、多様な攻撃を組み合わせてコンボ攻撃を仕掛けることもできるなど従来作に比べて飛躍的に芸達者になった。
いっぽう、射撃武器は大きく破壊力が下げられ、それのみで敵を倒すのは難しい。継戦能力も低い。弾は通常20発までしか携行できず、かつての「1000マシ」などは強化を施しても夢のまた夢だ。
あくまで今回の銃は敵を怯ませるための武器としての性格が強い。このブレードと射撃武器のバランスは間違いなく初期アーマード・コアの剣豪スタイルを意識したものだ。これを原点回帰と言わずなんと表現すれば良いのか。
シリーズでも上位に入るであろう辛口難易度も本作のチャームポイントだ。
序盤に登場する敵レイヴン、「ガスコイン」は登場タイミングからは考えられないほど強い。『アナザーエイジ』の戒世とアストライアーのコンビを思わせる難易度曲線だ。
また、ACBBは従来のアーマード・コアとは操作方法がまったく異なっており、『AC4』シリーズ『ACV』シリーズへの機種転換を容易に行なえたというベテランでも、本作の操作になれないうちに襲い掛かってくるガスコインには舌を巻くことだろう。
シリーズおなじみの巨大MTも多数登場する。
登場するACパーツはほぼすべてが曲線主体の有機的なデザインになっている。
ゴツゴツしたデザインのパーツが好きだったレイヴンには抵抗があるかもしれないが、デザインの刷新はシリーズものには付き物。
ホワイト・グリントやUCR-10/Aをはじめて見たときも驚いたではないか。
本作のACのデザインもきっとすぐに気にいるはずだ。
『アーマード・コア/ブラッドボーン』は、3月のPS Plusフリープレイ枠として現在配信中。地下世界の古参レイヴンは、ぜひともこの機会に遊んでみていただきたい。
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