VTuberに負けた日 ~リアル日雇い労働者VTuber・日雇礼子を見ろ~
ついに私もバーチャルユーチューバー(以下VTuber)に負けました……。
VTuber、人気ですね。
まったくと言っていいほど見ていないのにTwitterのタイムラインで見すぎてけっこう名前を覚えてしまいました。
俺のなかでVTuberが『東方』と同じ引き出しに入ってる。
原作は知らんけどやたらインターネットで見るのでキャラクターの名前はちょっと覚えつつあるみたいなヤツ。
まぁまだシコったことはないんですけど……。
そんな僕ですがついにVTuberに負けてしまいました。
僕が現在チャンネル登録をしてしまい、Twitterアカウントをフォローし、更新を楽しみにしてしまっている、そんな今のYoutubeキッズみたいな心境にさせられてしまっている存在。俺にとってのヒカキン。それが……
その日暮らし系VTuber、日雇礼子さんです。
日雇礼子の圧倒的魅力はそのリアルさにあります。
おいお前バーチャルだろ!!!!!!
作者 Kamagasaki450 [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0) または GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html)], ウィキメディア・コモンズより
現代日本で曲がりなりにもなんとなく生きて行けているとあまり意識しないで暮らせてしまうのですが生き方には「ドヤ」というジャンルがあります。
ドヤとは日雇い労働でその日その日の収入を得て、簡易宿泊所(ドヤ)で寝て暮らすというスタイルの生き方です。
ドヤ街という言葉をみなさんも聞いたことがあるでしょう。
よく「ドヤ街フィクションと言えば『じゃりン子チエ』だ!!!」
と話題になりますが『じゃりン子チエ』の話題で盛り上がれるのは確実に昭和生まれのおじさんなので平成生まれ的には「『孤独のグルメ』の第1話に出てきたヤツ」と理解しておきましょう。
これが「ドヤ街」だ!!
ドヤ街といえば国内で圧倒的知名度を誇るのが「あいりん地区」です。
関西民でなくともなんとなく「あいりん地区はヤバいらしい」という話は聞いたことがあるでしょう。
ところが「じゃあインターネットであいりん地区について調べてみようかな」
と思い、ググってみたりすると出てくるのはロクでもない情報ばかり……。
イキった若者がヘラヘラ肝試し感覚で行ってみた的なブログを書いたり、逆に意識高い系インターネット啓蒙野郎が「みんなが言うほど悪いところではない。そこには純粋さ的な……プリミティブな光景が……都会のほうがよほど醜悪……」のようなアホ5億%みたいな内容の記事しかありません。クソ!!!!!!!!!!!!!!!!!
そんなインターネットに彗星のごとく現れたリアルドヤ街系VTuberが日雇礼子です。
なにより内容が「軽くない」「キラキラしてない」のが最高。
ドヤ街のダメなところはメタメタにゴミのように腐しながら、外食チェーンの進出には胸を痛めるような愛着を持っている。その普段から利用しているからこその距離感が最高。
特にオススメなのは2018年4月14日時点での最新動画、
「Vtuber日雇礼子があいりん労働福祉センターでご飯を食べる」
です。
いや……リアルすぎるでしょ。話す内容が。
何?
バーチャルなのにリアルってバーチャファイター当時の世評かよ。
圧巻なのは4分36秒ほどから始まる「アブレ手当」の話でしょう。
もうコレはVTuberがどうのこうのとか関係なくて
ドヤ街で生きるためのノウハウ動画じゃん!
すごい。ためになりすぎる。なんなんだ。
Vtuberの人気の理由には
「そもそも人間に興味がないので人間の顔が見たくない」
とか
「顔がアニメなのに中身は受肉してるのが興奮する」
とかもあるでしょうが
「話す内容が本当なのかどうかがわからないのが楽しい」
というフィクションとリアルの境目が揺らぐみたいなところがあるんじゃないかと思うんですよね。
女子高生と自称してるけど本当はアラサーなんじゃないか……声とバーチャルの見た目しかわからないから確証は得られないけど
みたいなヤツです。
そうしてリアルとバーチャルの境界線が揺らいでいく……という点で日雇礼子さんがほかのVTuberと一線を画している点は見れば見るほど
コイツ、ガチで日雇い労働者なのか?
と思えてくるところです。
そもそも日雇い労働者が環境を整えてVTuberになることはできるのか。
でも日雇い労働者じゃないにしてはあまりにも語る内容がガチすぎる。
もしかしてVTuberをやる、という日雇いなのか。
などと様々な想いが去来します。
インターネット見てて「こいつ日雇いか?」って思うことあります? 俺は一度もそんな経験なかったよ2018年までは……。
VTuberのなり方はいろいろあります。
本格的なものなら撮影スタジオを使ってモーションキャプチャーを使う。
軽いものならフェイスリグやスマホアプリを使ってリップシンクを行なう。
などグレードによっていろいろとなり方がありますよね。
先日はスマホアプリの『ホロライブ』なんかも話題になっていました。
そんななか、日雇礼子さんは動画で常に頭上に「BANDICAM」の文字が浮かんでいて
「ああ……『3Dカスタム少女』かなんかのモデルをBBとかにしてBANDICAMで取り込んでクロマキー合成してるのかな……」
みたいな絶妙なローテク感が滲み出てるのが好感度大です。日雇いっぽい。
いまの時代、
「何をしたかを発信するよりも、誰が発信したかが重要だ」
と言われがちです。
が、俺はそうは思わねえ。
それはそいつが面白いとわかっているヤツの認識だろう!
俺はそいつがどんなに面白かろうと何も知らないヤツがPUBGやったりGetting over itやったりしてる動画を開こうとは思わねえ! だってそいつに興味がまだ湧いてないから……。
そんななか、。日雇礼子さんは圧倒的に「何をしているか」で惹かれる動画作りをしています。内容で勝負している!
そこに惹かれる。憧れる。
そもそも論になるけど別に日雇礼子の動画ってVTuberじゃなくても多分おもしろいんだよね。しっかりしてるから。
でも人間の顔とか見たくないし、声も別に聞きてーと思わないのでCGモデルとゆっくり音声のフィルターがかかってなんかリアルとバーチャルがないまぜになってよくわからない、俺は混乱している! な状態であいりん地区の圧倒的「リアル」がブチ込まれて脳が最高になってしまう。
なんだ、なんなんだこの体験は。
映画『シン・ゴジラ』は公開前、「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)」というキャッチコピーで話題を呼びました。
どんな映画やねん、と見てみると序盤は怪獣出現に対する政府の対応をできる限りリアルっぽく見せていくという内容で、話が包むにつれ段々電車の爆弾が登場したり荒唐無稽になっていく。
「フィクションにはフィクションぶつけんだよ!」
というような内容の映画でした。
リアルを侵食するフィクションにはフィクションを叩きつけることで対抗できるのだ。
でも日雇礼子は逆! 逆なの!
VTuberという虚構を見に来たはずなのにいつのまにか現実の話に引き込まれてしまうの!
リアルがバーチャルを侵食しているのよ!!!!
これは……これは逆『シン・ゴジラ』だ!
やった!!!!!!!!!!!!!!!!!
なんか語りに『シン・ゴジラ』を混ぜることでそれっぽい世評みたいなことをしてみるヤツ実績を解除したぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
結論:日雇礼子は実質『シン・ゴジラ』
~オマケ~
【日雇礼子ここがすき】
「~わね」
「~わよ」
の使い方が役割語丸出しで「中身はオッサンなんだろうなあ……」と思わせるところ