刃先が回転する爪切りとあなた方
先日、刃先が動く爪切りを買った。
これだ。なかなかカッコいい。
なんか金属のムクに規則正しく穴が空いているとカッコいい気がする。なぜかは知らない。
んで
んでこれがこう動く。おもしろい。
役に立つのかっていうと劇的にすごいということはない。
たしかにこうしてみようと考える気持ちはわかる。とくに「不自由だなあ」と感じたことはなかったが、たしかに利き腕と逆の足の爪を切らなければならないとき、爪切りの長さぶん少し多めに身を屈ませなければならないみたいなところはある。でも別に、そのことに対して
「あんまり屈みたくねえ」って思ったこと、ねぇし。
んで使ってみると一瞬おもしろい。
「はーなるほどなあ」
って声は出る。
でもそれだけである。
「助かったー!」
と思うようなことはない。
「なるほど」
以外の感情はない。
そもそも買った時からして
「これは便利そうだな」
と思って買ったわけではない。
「なんかおもしろそうだな」
と考えて注文したのだ。
だから半爪切りに対しての特別な想いはすでに消化したので、これからは平凡な爪切りとして生きてもらう。
たまに思い出したように
「刃先、動くからな」
って回して使うことはあるだろう。
でもそれは単なる惰性である。
「せっかくだから」以上の感慨は存在しない。赤の扉を選ぶコンバット越前程度の感傷だ。
こうなると彼のアイデンティティであったはずの「刃先が回転する」という芸は一発芸レベルのしょうもないものへと変貌してしまう。
入社面接で
「僕は刃先が回転できます」
と自己PRしたところ採用されたのに、いまとなっては忘年会の席で
「おいアレやれよw 刃先が回転するやつwww」
と一笑に付されるのみなのだ。
かわいそうなやつだ。
まるでお前たち*1の人生のようだ。
これは街で見かけた寿司屋の居抜きです。
いいなあ。
寿司屋の居抜きを買って寿司屋と関係ないことをやりたい。死ぬまでの夢にしよう。
*1:このブログを読んでいるあなた方だ