『スターウォーズ/最後のジェダイ』感想
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
作業用ビデオ的に今さら見た。
当時見なかったのは単に初日に急いで見るほど別に『スター・ウォーズ』に思い入れ無いってのと、あまりにインターネット上で拒否反応示してる側のオタクの反応が見るに耐えなかったので
「あっあっあっ、もうイイっす! もう自分スター・ウォーズには一生関わらないでも別に困らないしいいっスわ!」
となってしまったのであった。
一方
「良かったね〜〜」
と反応してる側のオタクの雰囲気はなかなか興味深かったのだがともかくその
「お前は、お前はどっちなんだ!?」
的な空気がキツかったのでとりあえず銀河から逃げてしまったのであった。
翌年の『ローグ・ワン』でもなんかそんなカンジになっており、
「ウワーッ!スター・ウォーズ!!!!」
って感じで完全にシカトして家で格ゲーとかやって過ごしていたのだが、こないだの『ハン・ソロ』についてはなんかみんなふわふわ〜〜と
「良かったね〜〜」
って空気になっていたのでようやく銀河に平和が戻ってきたのか……と認識して今さらながらにじゃあ俺はどっちになるんだってことに興味が湧いて見てみたわけです。
インターネットで
「〇〇嫌い!ってわざわざ言うのは気分を害する人がいるからやめようね!」
みたいなこと言われると
「なんだおめェ〜〜……風紀委員かよォ〜〜ッ? 好きにさせろよォ〜〜ッ」
ってなるんだけどここ2年くらいの『スター・ウォーズ』絡みの空気見てると嫌いなものをわざわざ口汚く言うと、関係ない地域から眺めたときにアホっぽく見えておっかねえ、近寄らんとこってので損が大きいなと思ったのでこれからなるべく嫌いなものについてはシカトを決め込むのが良いなと学んだ感じであった。
閑話休題。
『最後のジェダイ』についてですが私的には「オモシロ寄りのほぼ普通」って感じだった。
手を上げて「名作!!!!!!」って言うには気になるところが多いけど、見終わった感触としては結構良かった。
以下適当に感想。
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◆よかったところ
・新キャラをガンバらせようとガンバっている
どことなく『カイジ』の一条を彷彿とさせるSWヴィラン屈指の萌えキャラのハッグスくんはおそらく本国のファンジンではカイロ・レンにめちゃめちゃフォースファッキングされているはず。俺は詳しいんだ
これは良かった。そもそもからしてこの手のフランチャイズは昔っからのファンをアテにしてるわけで、もちろん『スターウォーズ』だってep7でまた映画やるで〜〜って言い出した時点で
「ハン・ソロ出すよ! ルークもラストで出る!『スターウォーズ』の続きを見れるぞ!」
という感じでたくさんの人を興味を引いたわけだけどそれはそれとしてep7から一貫して新世代のキャラクターをちゃんとなんとか根付かせようと努力してるように思える。
それはうまくいってないとこも当然あるわけだけど私はep7でも8でも
「旧キャラに任せっきりにならないようにガンバってるなあ」
と感じた。
特にカイロ・レンは7からめちゃめちゃいいキャラクターで、ダース・ヴェイダーのポジションなのにガキで、癇癪持ちで、パワーはあるのに未熟者というのがとてもいい。
未熟者で癇癪持ちってところがとにかくヘイトを集める要素ではあるので嫌いな人は嫌いだと思うんだけど私は
「いるよな〜〜こんなやつ」
となかなか好意的に見れているし、新作映画でいちばん伸び代がある子だな〜〜と思って見ている。
『こんなこ、いるかな?』に近い。
レイなんかは正直もう少しキャラを立てるのをガンバって欲しいと思ってるんだけど
「圧倒的なフォースの才能がある」
「でも精神的にも技術的にもすげー未熟」
「でも芯が強いところがあってそれが彼女のいちばんの武器だ」
みたいなのはとても感じられてて、もう少しプライベートな顔を見せて欲しいなあ感情移入しづらいなあと思いつつキャラ造形としてはなかなかオモロイなあと思ってる。ただ、新世代のニュー主人公なんだろうけどどうしてもライバルでありもうひとりの主役なはずのレンにどうしても目が行っちゃうんだよな。レイは8でももう少しキャラ立ててほしいなあと思った。
新キャラについてはまだまだ話せるけどよく考えたら区切るにしてはカテゴリがデカすぎたのでとりあえずレンとレイの話だけにしておきます。
・殺陣がけっこういいジャン
(サッ)(サッ)がカッコいいような笑えるような不思議な空気を醸し出すプレトリアン・ガードくん
これもep7含めての感想なんだけど、ライトセーバー戦、チャンバラの殺陣がとてもいい。個人的にはここについては僕は過去作でいっちゃん好き。
っていうのもカイロ・レン、レイ、あとep7でのフィンの、3人それぞれの未熟さがよく出てるなーって思うんですよね。
技術は無いんだけどがむしゃらに、遮二無二に戦ってる感がすげー出てていい。
いちばん好きなトコ。カイロ・レンがダメージを負ったレイに一瞥をくれながらプレトリアン・ガードの武器を奪ってライトセーバーとの二刀流で戦うシーン。どんなに優れた才能があっても未熟なので一撃一撃が大ぶりでこのときには完全にスタミナ切れで疲れた動きになってる、のがとても良い
レイのライトセーバーをガリアンソードで受け止めたあと、手繰り寄せて間合いを詰めるプレトリアン・ガードくん。それ、そうやって使うんだ!? プレトリアン・ガードの武器はハスブロあたりから主力製品としてオモチャが出るのか? ってくらいギミックの描写がていねいです
『最後のジェダイ』のプレドリアン・ガード戦はとくに良くて、とにかく二人とも動きが雑で、歴代のジェダイたちが流れるようにザコ相手に無双してたのとは裏腹に8人のモブキャラの流麗な動きを前にダメージ食らったりしちゃう。でもものすごいフォースがあるし血の絆みたいなので敵同士なくせに割とウマ合うじゃん俺たちみたいな感じで割とコンビネーションできちゃったりして勝てちゃう、みたいな塩梅がうまかった。作業の手を止めてじっくり見ちゃったもん。
なんというか「すごい才能がある」というのが「だからスゲー強いんスよww」って感じになってなくてギリギリな感じが出てるなーいいなーと思った。
・お爺ちゃんがかわいい
アイレムのSTGのボスキャラみたいなキモ・生物のお乳をめちゃめちゃウマそうに飲むマーク・ハミルおじいちゃん。CM出れるよ
完全に予想外だったんだけど老マーク・ハミルがかわいい。
「この人、こんな辺鄙なとこでどうやって暮らしてるんだろ……」
と不思議に思ってたらドヤ顔で変な生き物のお乳飲むし、無駄なアクションしてレイに心配されながら魚獲るし。とつぜんスターウォーズのグルメものスピンオフが始まっちゃった。
ほかにもレイから
「今の話聞いてました?」
とか呆れられたり後ろからドツかれたり秘密をバラされそうになって家を吹っ飛ばしたりしてお爺ちゃんかわいい。
それまで悪態ついてて協力したくねえなあってブツブツいう偏屈爺さんだったのにR2-D2見た途端
「ワァーッ♡」
ってなるのもかわいいよな。
ep4のレイア見せられて
「それはズルでしょ!」
ってツッコむところで視聴者と一心同体になってしまうのも良い。
ヨーダの幽霊からもうジジイなのに
「若きスカイウォーカー」
とかからかわれてるのもかわいい。
終いにゃオビワンと同じ死に方するし。でもあの死に方ホロリ感とちょっとジョークも聞いてて『最後のジェダイ』に対しての加点がモモモモンと入りました。
・ババアのガッツがスゴすぎる
宇宙ものではほぼ十割死ぬシチュエーションであるところの「ブリッジに直撃食らって宇宙空間に漂う」に陥ってもフォース一本で生還してみせるレイアは一躍『スター・ウォーズ』最強ガッツキャラに躍り出た
旗艦のブリッジがファースト・オーダーの攻撃で吹き飛ばされ、みんな死ぬ! おなじみのアクバー提督も死んだ! レイアも死んだ! 悲しい〜〜。ファースト・オーダー絶対に許せねえ……!
そんなシーンでいきなりレイアがカッ!と目を見開く。
おぉ、なんかアレか。これは精神的な死後の世界的なアレで死んだレイアが死後の世界でソロに会えたりするのかなぁ〜〜っとボケーとしんみり展開を予測しつつ眺めてたらどっこいまだ現実世界の宇宙空間だった。嘘でしょ……。
そして救助を待つでもなくなにかガジェットを使うでもなく我らがレイア姫自力の帰還。嘘でしょ……。
みんなもとくにツッコミ入れたり驚いたりせずよし救護班だ休ませろ!ってなってるのなんなん。オイオイオイ。
まったく知らなかったのでびっくりしちゃったよ。
ていうかキャリー・フィッシャーさん亡くなったしソロが死んだ時みたいに見てきた人たち
「あの人死んじゃったね〜〜」
みたいにしてたからてっきりレイア死ぬんだな〜〜と思ってたからガッツで生き残ってデカい声出ちゃった。マジ?
その後もとくにトラブルなく生き残っててすごかったしマジであのシーンなんなんですか。フォース? フォースがすごいから? ミディ・クロリアンの力なの? それとも別に地球人と違って宇宙空間でも活動できる人種だったのかこいつら?
とにかくインパクトでかすぎてビビってしまった。レイアすごい。
多分今後
「スターウォーズでどのシーンが好き?」
って言われたら
「レイアがガッツで生き残るシーン」
って言ってしまう。すごい。
・終わり方好き
カイロ・レンをなんとかするには一回腰据えて話さなアカン。個人的にも後悔あるし。でも話そうとしたらチャンバラになってまうし斬り合ったどっちか死ぬから嫌だな〜〜。殺したく無いし殺されたらまたベンくんが落ち込むから殺されるわけにもイカンしな〜〜
と悩んだルークお爺ちゃんが出した答えが霊体飛ばして戦いながら話すけど、霊体だから斬られなくて殺されないしお話はできるしでも霊体飛ばすのシンドいから疲れて死ぬけどまあ気持ちは整理つくしええか。
って感じの終わり方は因縁の落とし前をつけるという意味でも現状のレジスタンスの状況を打開するという意味でもソロに続いてルークという旧世代の英雄が去り、代わりにデカい岩をフォースでどかしながらレイという新しい英雄が現れる、という継承のお話としてもかなり好き。まあレイアはガッツで生き残ってるんやが……。
おいおいおい、AT-ATにめちゃめちゃ撃たれてるのに肩のホコリ叩くだけなルークすごすぎるでしょ、全部剣で弾いてたんか……→霊体か〜〜い! っていうトラップの入れ方もまあ好き。
最後にレイアや3POともお話できてよかったねお爺ちゃん。
結局爺ちゃんかわいいみたいな話になってしまった。
◆良くないなあと思ったところ
・なんかダラダラしとる
カジノの一連のシークエンスはめちゃめちゃおもしろくない。ただ「なんでファースト・オーダーってめちゃ規模でかいんすか」の答え合わせの一端みたいなのも感じるので完全に無駄というわけでもないんだろうか。でもつまんない
長い。いや、長いというよりいろいろと冗長。ダラダラしとる。
いらないシーンが多いんじゃないかなあと思う。
『フォースの覚醒』からの新作(なんて呼べばいいのこいつら)って主人公が4人いると考えていいと思うんですけど……レイ、カイロ・レン、フィン、ポー・ダメロンの4人だと思うんですけど、『最後のジェダイ』はこの4人の話を並行させてドレッドノートで収束させることにガンバりを注ぐあまりなんかいろいろパワーが分散されてしまった気がする。
カジノとか、レジスタンス内の不和とか、カジノとかいらなくないですか?
カジノ、絵的にもとくにすげえいろんな文化が混ざり合った宇宙カジノって感じなくて展開的にも
「これいる???」
って空気のてんこ盛りでなんというか全部省いても良かったんじゃないかな……って思うくらい。
どうしてもフィンの活躍ノルマ達成させたいんならファズマ戦やらせればそれで終わる気がするしさ……。
なんというかフィン周りについてはいっそのこと
「フィンはファースト・オーダーのドレッドノートを攻略するためコード破りの名人と合流し、ワープでドレッドノートに向かっていた……」
みたいなのをあらすじの文章で流してカジノ周り全部カットで良かったんじゃないか。
前作だっていきなり
「ルーク・スカイウォーカーが消えた!」
だしさ。
んでドレッドノートにムラサキババアが突撃して、スノークも死んで、でこれで今回の話はひと段落が〜〜と思ってたら避難先の基地に逃げる&攻められる&また逃げるのシークエンスが挟まって
「まだあるのお!?」
ってなっちゃった。もう疲れたよ。
なんというかほんと2時間半やろうとせずにもっと編集してテキパキした構成にしてほしかったなあ。
・笑うシーンがわかりにくい
上裸のカイロ・レンがレイからテレパシー越しに「服着ろよ……」って言われるシーンは笑えるんだけどとくに画面越しに「ここ笑うところ!」的なものを感じないしシリアスな会話が続くので笑って良いのかわからん
狙って笑わせようとしてるシーンなのか天然ボケなのかわからないシーンが多い。
ここら辺は最近のMCUとかはうまくやってるのでもうちょっと〜〜と思った。
宇宙船が着陸したのかと思ったらアイロンだったシーンとかさ。マジでアレは笑うシーンなの? それとも場面切り替えの記号? なんかの暗喩? わからん*1
反面、本来シリアスなシーンのはずのレイがルークに
「本当のこと言って!!!!」
って言いながらお爺ちゃんドツくシーンとかなんか笑ってしまった。頭の中でコント番組の\ドッ/\ワハハ/が聞こえたもん。
終盤のレンとハックスの息が合わないやり取りとかも組織の不和を表したいのかコメディシーンなのか判断に迷って
「どう受け止めればいいんだ……?」
と悩みが来てしまう。わからん。
◆まとめとしては
最初に言ったとおり
「オモシロ寄りの普通」
って感じ。いい意味でこんなもんかな〜〜という雰囲気。逆にすげー良くなかった!という人に対してもすげー良かった!という人に対しても
「そんなに……?」
という想いが湧いてくる中途半端な立ち位置ではあるな。いや、でも実際、割と良かったよ。
去年の映画でいうと『ブラックパンサー』くらいは楽しめた。
でもやっぱりもっと勿体がらずに削って欲しかったな〜〜というのもとてもある。難しいんでしょうけどね大作とかになってくるとね。
続きも楽しみにしてます。はい。